こんにちは。高津です。
先日のシゲルカガの記事で2022年新種牡馬の考察を一区切りにしたところで、2023年に初年度産駒がデビューする新種牡馬たちについて、考察していこうと思います。
2023年に産駒がデビューする種牡馬(2020年に初供用を迎えた種牡馬)は37頭おり、総種付け数は2189、出生総産駒数は1244となりました。これは前年の2022年新種牡馬44頭、総種付け数2205、登録産駒数1395と比較すると、やや少ない数字になります。
この記事を作成している2021年11月下旬現在で出生届け出は確認が可能ですが、血統登録馬のデータは公開されていません。出生後、死亡等何らかの事情で血統登録されないこともありますので、血統登録される産駒数は減ることになるであろうことをご承知おきください。
※本記事はJBIS-searchとJAIRSのデータを基に構成しています。
- グループ:サンデーサイレンス
- アドミラブル(byディープインパクト)
- アルアイン(byディープインパクト)
- アレスバローズ(byディープインパクト)
- エピカリス(byゴールドアリュール)
- サトノアレス(byディープインパクト)
- シュヴァルグラン(byハーツクライ)
- ショウナンバッハ(byステイゴールド)
- スピリッツミノル(byディープスカイ)
- スワーヴリチャード(byハーツクライ)
- タツゴウゲキ(byマーベラスサンデー)
- ヘンリーバローズ(byディープインパクト)
- マイティスピリット(byディープインパクト)
- ミッキーグローリー(byディープインパクト)
- レガルスイ(byエイシンサンディ)
- ロジャーバローズ(byディープインパクト)
- グループ:ミスタープロスペクター
- グループ:ダンツィヒ
- グループ:ストームキャット
- グループ:エーピーインディ
- グループ:その他
グループ:サンデーサイレンス
ひ孫世代に代替わりが進んでも勢いが衰えないサンデーサイレンスの子孫にあたる種牡馬が今年は15頭スタッドインしています。このグループだけで種付け数は778と、2023年新種牡馬の総種付け数の1/3を占めています(昨年は1/5程度)。
15頭中8頭がディープインパクト産駒、2頭がハーツクライ産駒、あとは1頭ずつの産駒という内訳です。昨年との違いは種付け数100を超えた馬が3頭いたこと、種付け数50~99の"中堅種牡馬"が1頭から4頭に増えたことと、2つの要素が種付け数を押し上げたと考えられます。
個人的にはエピカリスが"中堅種牡馬"としての立ち位置を得ていたことに驚きました。ダート馬市場の活況を受けてのことと見ますが、2021年も50の種付けを行って"中堅種牡馬"としての立場に留まっています。考察の際には力が入りそうな1頭です。
アドミラブル(byディープインパクト)
種付け70、出生36
主な勝ち鞍:'17 青葉賞・T2400m・GII
繋養先:浦河・イーストスタッド
種付け料:受胎条件30万円フリーリターン特約、誕生条件50万円
makitakatsu1990.hatenablog.com
アルアイン(byディープインパクト)
種付け104、出生66
主な勝ち鞍:'17 皐月賞・T2000・GI
繋養先:日高・ブリーダーズスタリオン
種付け料:受胎条件120万円、誕生条件170万円
アレスバローズ(byディープインパクト)
種付け12、出生5
繋養先:新冠・優駿スタリオンステーション
種付け料:受胎条件30万円フリーリターン特約、出生条件50万円
エピカリス(byゴールドアリュール)
種付け88、出生59
種付け料:受胎条件30万円フリーリターン特約、出生条件50万円
makitakatsu1990.hatenablog.com
サトノアレス(byディープインパクト)
種付け26、出生19
主な勝ち鞍:'16 朝日杯FS・T1600m・GI
繋養先:日高・ブリーダーズスタリオン
種付け料:受胎条件50万円、出生条件80万円
makitakatsu1990.hatenablog.com
シュヴァルグラン(byハーツクライ)
種付け128、出生87
主な勝ち鞍:'17 ジャパンカップ・T2400m・GI
繋養先:日高・ブリーダーズスタリオン
種付け料:受胎条件80万円フリーリターン特約、誕生条件120万円
ショウナンバッハ(byステイゴールド)
種付け8、出生5
種付け料:プライベート
スピリッツミノル(byディープスカイ)
種付け4、出生3
主な勝ち鞍:'19 大阪城S・T1800m・Listed
種付け料:プライベート
スワーヴリチャード(byハーツクライ)
種付け123、出生82
主な勝ち鞍:'19 ジャパンカップ・T2400m・GI
繋養先:胆振・社台スタリオンステーション
種付け料:受胎条件200万円フリーリターン特約
タツゴウゲキ(byマーベラスサンデー)
種付け2、出生0
繋養先:新冠・(有)大作ステーブル
種付け料:プライベート
ヘンリーバローズ(byディープインパクト)
種付け44、出生23
主な勝ち鞍:中央1勝(全兄にシルバーステート)
繋養先:浦河・イーストスタッド
種付け料:受胎条件30万円フリーリターン特約、出生条件50万円
makitakatsu1990.hatenablog.com
マイティスピリット(byディープインパクト)
種付け2、出生1
主な勝ち鞍:地方(兵庫)1勝
繋養先:新冠・クラック・ステーブル
種付け料:プライベート
ミッキーグローリー(byディープインパクト)
種付け68、出生30
主な勝ち鞍:'19 関屋記念
種付け料:受胎条件30万円フリーリターン特約、誕生条件50万円
makitakatsu1990.hatenablog.com
レガルスイ(byエイシンサンディ)
種付け2、出生1
主な勝ち鞍:'16 テレ玉杯オーバルスプリント3着・D1400m・JpnIII
繋養先:日高・(有)フジモトバイアリースタッド
種付け料:プライベート
ロジャーバローズ(byディープインパクト)
種付け97、出生60
主な勝ち鞍:
種付け料:受胎条件120万円フリーリターン特約
グループ:ミスタープロスペクター
グループ:ミスタープロスペクターでは、6頭の種牡馬がスタッドインしています。内訳は、Kingmamboの産駒キングカメハメハと、その子にあたるロードカナロアを父に持つ種牡馬が4頭、Machiavellianを経由した種牡馬とフォーティナイナー~エンドスウィープを経由した種牡馬が1頭となっています。
昨年からは種付け数で571→380、産駒数で366→242と、共に2/3ほどになっています。人気の出る産駒がスタッドインしなかったことで"中堅種牡馬"が現れず、その恩恵をグループ:サンデーサイレンスの種牡馬たちが受けた、という構図で間違いないでしょう。
種付け数の最多はキングカメハメハ産駒のレイデオロで196、次いでStreet Cry産駒でMachiavellianの孫産駒にあたるニューイヤーズデイが158、あとは零細種牡馬と見なせます。
注目はレイデオロで、2021年のセレクトセール0歳セッションで大旋風を起こしました。2022年の種付け料は700万円に引き上げられ、ポスト・ディープインパクトを担うと(社台グループ内で)見なされています。考察は十分な紙幅を割きたいところです。
キングリオ(byキングカメハメハ)
種付け2、出生2
主な勝ち鞍:地方2勝、中央1勝
繋養先:新ひだか・原口牧場
種付け料:プライベート
カイロス(byサウスヴィグラス)
種付け5、出生2
主な勝ち鞍:'18 園田FCスプリント・D820m・地方重賞
繋養先:新冠・白馬牧場
種付け料:受胎条件10万円フリーリターン特約
サクラアンプルール(byキングカメハメハ)
種付け2、出生0
主な勝ち鞍:'17 札幌記念・T2000m・GII
種付け料:受胎条件30万円フリーリターン特約
ニューイヤーズデイ(byStreet Cry)
種付け158、出生99
主な勝ち鞍:'13 BCジュヴェナイル・D8.5F
繋養先:胆振・社台スタリオンステーション
種付け料:受胎条件300万円フリーリターン特約
ユアズトゥルーリ(byロードカナロア)
種付け17、出生14
主な勝ち鞍:なし
種付け料:受胎条件15万円フリーリターン特約、誕生条件20万円
レイデオロ(byキングカメハメハ)
種付け196、登録125
主な勝ち鞍:'17 天皇賞・秋・T2000m・GI
繋養先:胆振・社台スタリオンステーション
種付け料:受胎条件600万円フリーリターン特約
グループ:ダンツィヒ
Danzigと聞くと短距離血統と思われがちですが、その実多様性に富んだ系統です。内訳をみると、Danzig直仔でアメリカの7-8FでGIを3勝したLangfuhr産駒、中距離以上にも対応するようになったCape Crossの孫産駒、オーストラリアのスピード系から出た2頭の4頭がスタッドインしています。
種付け数は昨年の157→247、産駒数は91→151とともに6割の増加を見せています。現役時代の実績と繋養牧場の規模からサンダースノーが152頭の種付けを行ったことはうなずけます。しかし、GI勝ちはあるものの、ダート戦線で脇役感の否めなかったアポロケンタッキーが77頭の牝馬を集め、50頭近い産駒を得たことは非常に驚いています。注目馬に挙げたい1頭です。種付け数は先に挙げた2頭で大半が稼ぎ出されており、ほかの2頭は零細種牡馬の域を出ません。
アポロケンタッキー(byLangfuhr)
種付け77、出生48
主な勝ち鞍:'16 東京大賞典・D2000m・GI
種付け料:受胎条件20万円フリーリターン特約、誕生条件30万円
makitakatsu1990.hatenablog.com
ゴールデンマンデラ(byGolden Horn)
種付け7、出生6
主な勝ち鞍:
繋養先:新冠・白馬牧場
種付け料:プライベート
サンダースノー(byHelmet)
種付け152、出生93
主な勝ち鞍:'18-19 ドバイワールドカップ・D2000m・首GI
繋養先:日高・ダーレー・ジャパン スタリオンコンプレックス
種付け料:出生条件250万円
ヤングマンパワー(byスニッツェル)
種付け11、出生4
繋養先:新冠・白馬牧場
種付け料:受胎条件20万円フリーリターン特約、誕生条件30万円
グループ:ストームキャット
Storm Catも世代が下るにつれて多様性を得た血統です。スタッドインした種牡馬たちも芝の中長距離で活躍した産駒、ダートで活躍した産駒と適性に多様性が見られます。
昨年の数字と比較すると種付け数で162→373、産駒数で105→224とともに2倍以上になっています。この辺りは種牡馬動向に左右されているもので推測の域を出ませんが、非社台繋養でダート向き種牡馬と目されるモーニンが190頭の種付けをこなして全体2位の種付け数を得たのは非常に驚きです。次いで社台グループが輸入したブリックスアンドモルタルが種付け数178と、この2頭で種付け数の9割がたを占めています。
注目はモーニンを挙げておきたいと思います。血統的な魅力もありそうで、それが人気につながっているのでしょう。
ブリックスアンドモルタル(byGiant’s Causeway)
種付け178、出生107
主な勝ち鞍:'19 BCターフ・T12F・米GI
繋養先:胆振・社台スタリオンステーション
種付け料:受胎条件600万円フリーリターン特約
マルターズアポジー(byゴスホークケン)
種付け5、出生2
繋養先:新冠・白馬牧場
種付け料:受胎条件20万円フリーリターン特約
モーニン(byHenny Hughes)
種付け190、出生115
主な勝ち鞍:'16 フェブラリーS・D1600m・GI
繋養先:新冠・優駿スタリオンステーション
種付け料:出生条件10万円
グループ:エーピーインディ
昨年からやや数字を落としたのはこのグループで、種付け数215→164、産駒数で135→109と、2割程度の減少となっています。
米2冠とドバイワールドカップを制したカリフォルニアクロームの導入の報は当時かなりのインパクトを持って受け入れらた記憶があります。一方で”都落ち”との冷ややかな反応もあり、初動がカギでしたが、種付け数143に出生産駒99は、堅い評価と見ます。
注目はカリフォルニアクロームです。当然ですね。
カリフォルニアクローム(byLucky Pulpit)
種付け143、出生99
主な勝ち鞍:'16 ドバイワールドカップ・D2000m・GI
種付け料:受胎条件400万円フリーリターン特約
ゴールデンバローズ(byTapit)
種付け18、出生9
主な勝ち鞍:'15 ヒヤシンスS・D1600m・OP
繋養先:新冠・優駿スタリオンステーション
種付け料:受胎条件30万円フリーリターン特約
フラットライナーズ(byシニスターミニスター)
種付け3、出生1
主な勝ち鞍:'17 船橋記念・D1000m・地方重賞
繋養先:胆振・ストロベリーフィールドファーム(株)
種付け料:プライベート
グループ:その他
グループを形成できなかった様々な系統に属する馬をまとめたのが、このグループです。商業ベースに乗っていそうなのはアニマルキングダム(種付け117・出生産駒72)とホークビル(種付け95・出生産駒61)の2頭でしょうか。
アニマルキングダム(byLeroidesanimaux)
種付け117、出生72
主な勝ち鞍:'13 ドバイワールドカップ・D2000m・首GI
種付け料:受胎条件120万円(流死産、産駒死亡時返還)
ウルトラカイザー(byレギュラーメンバー)
種付け1、出生1
主な勝ち鞍:'14 道営記念・D2000m・地方重賞
繋養先:新冠・クラック・ステーブル
種付け料:プライベート
キタサンミカヅキ(byキングヘイロー)
種付け23、出生9
主な勝ち鞍:'17-18 東京盃・D1200m・GII
繋養先:新冠・優駿スタリオンステーション
種付け料:受胎条件20万円フリーリターン特約、出生条件30万円
makitakatsu1990.hatenablog.com
クワイトファイン(byトウカイテイオー)
種付け2、出生0
主な勝ち鞍:地方6勝
繋養先:新冠・クラック・ステーブル
種付け料:プライベート
グァンチャーレ(byスクリーンヒーロー)
種付け9、出生7
繋養先:浦河・イーストスタッド
種付け料:誕生条件25万円、牝馬産駒10万円
ホークビル(byKitten's Joy)
種付け95、出生61
主な勝ち鞍:'18 ドバイシーマクラシック・T2410m・GI
繋養先:日高・ダーレー・ジャパン スタリオンコンプレックス
種付け料:誕生条件100万円
以上で概観を終わります。考察対象は種付け数20以上の種牡馬としたいと思いますが、気分次第でマイナー種牡馬も取り上げるかもしれません。ご希望あればTwitterの方にでもどうぞ。
2023年新種牡馬一覧でした。