こんにちは。高津です。
前回から約1週間が経ち、2歳戦や夏競馬の名物北海道シリーズのファンファーレにも耳慣れしてきたところです。一口募集のラインナップも各クラブから発表され、"勝負の夏"の雰囲気が漂ってきました。続けて投稿してきますので、よろしくお願いいたします。
今回は117頭の種付け・64頭の産駒登録がなされたミッキーロケットについて、考察していきます。
※アイコン写真は『ミッキーロケット(Mikki Rocket) - 優駿スタリオンステーション種牡馬展示会2021 - YouTube』より転用しています。
種牡馬データ
2013年3月3日生
安平・ノーザンファーム生産
種付け料:受胎条件50万円(フリーリターン特約)
誕生条件80万円
血統(配合種牡馬)
キングカメハメハ | Kingmambo | Mr.Prospector | Raise a Native | Native Dancer |
Raise You | ||||
Gold Digger | Nashua | |||
Sequence | ||||
Miesque | Nureyev | Northern Dancer | ||
Special | ||||
Pasadoble | Prove Out | |||
Santa Qilla | ||||
マンファス | ラストタイクーン | Try My Best | Northern Dancer | |
Sex Appeal | ||||
Mill Princess | Mill Reef | |||
Irish Lass | ||||
Pilot Bird | Blankeney | Hathersett | ||
Windmill Girl | ||||
The Dancer | Green Dancer | |||
Khazaeen | ||||
父:キングカメハメハ→Kingmambo→Mr.Prospector→Raise a Native→Native Dancer
母:マネーキャントバイミーラヴ
母父:Pivotal→Polar Falcon→Nureyev→Northern Dancer→Nearctic→Nearco
祖母父:Carleon→Nijinsky→Northern Dancer→Nearctic→Nearco
三代母父:Miswaki→Mr.Prospector→Raise a Native→Native Dancer
四代母父:Riverman→Never Bend→Nasrullah→Nearco
ファミリーライン
4代母Floodは6戦1勝の成績を残したアメリカ産馬で、その仔にはMr.Flood('93 サントリン賞2着・ペルーGIII)、トライディード(42戦5勝、JRAオープン馬)、1996年のグランクリテリウム3着の(T1600m・仏GI)King Soundがいます。
3代母Sabriaは不出走のアメリカ産馬です。その仔にはLandseer('02 仏2000ギニー・T1600m・仏GIほかGI1勝)、Ikhtyar('03 ガラS・T10F・英Listed)、2012年のシンガポールゴールドC(T2200m・Listed)2着のMaurice Utrilloがいます。
祖母Sabreonは10戦1勝の成績を残したイギリス産馬です。その仔にマネーキャントバイミーラヴ('09 ハイトオブファッションS・T10F・Listed)、Flood Warning('17 フィリーズトライアルS・T10F・Listed)がいます。
母マネーキャントバイミーラヴは9戦2勝の成績を残したアイルランド産馬です。先述のハイトオブファッションSのほか、2009年のサンドリンガム賞(T8F・Listed)を勝っています。産駒はミッキーロケットのほか、複数の産駒が中央で勝利を挙げており、まずまずの繁殖成績と言えます。
同配合馬
キングカメハメハ系種牡馬×Nureyev系牝馬の組み合わせからは、目立った活躍馬は出ていません。しかし、祖母父に拡大すると、アーモンドアイ(父ロードカナロア×祖母父Nureyev、'18 牝馬三冠)、Tagaroa(父ロードカナロア×祖母父Pivotal、'20 ブルーダイアモンドS・T1200m・豪GI)が出ています。
キングカメハメハは日本で大勢力を築いている有力父系で、母父としても複数のGI馬を送り出しています。基本はマイルから2400mあたりを得意とするチャンピオン系の種牡馬です。母方は「アーモンドアイのスピードはNureyevのクロス由来」という言説が流れたり、この父系に属する馬が2020年の凱旋門賞を制するなど、母系に入っても、父系としても強い系統です。
Mr.Prospector系種牡馬×Nureyev系牝馬は父系祖父のKingmambo の配合の再現配合と見なすことができ、”血の集中”で活躍産駒を出す、そんな種牡馬と見ます。
戦績
2015年(2歳)1戦0勝 新馬②
2016年(3歳)10戦3勝 未勝利、500万下、HTB賞(1000万下)、神戸新聞杯(GII)②
2018年(5歳)6戦1勝 天皇賞・春(GI)④、宝塚記念(GI)、天皇賞・秋(GI)⑤、有馬記念(GI)④
キャリア計 24戦5勝
栗東・音無秀孝厩舎で競走生活を送りました。当時も有力馬がひしめく有力厩舎で、トップホースには同じオーナーの所有馬で、2014年のNHKマイルC(T1600m・GI)と2016年のマイルCS(T1600m・GI)を制したミッキーアイルが挙げられそうです。同期生には2017年の東京新聞杯(T1600m・GIII)を制したブラックスピネルがいます。1期下には2019年のオールカマー(T2200m・GII)ほか重賞3勝、2020年の天皇賞・春(T3200m・GI)2着のスティッフェリオ、2019年の京都記念(T2200m・GII)ほか重賞2勝のダンビュライト、2期下には2019年の春秋マイル王者・インディチャンプがいます。ミッキーアイルから引き継いだGI馬のバトンをうまくインディチャンプに繋いだといえそうです。
早くから才能を示し、一旦停滞を見せた後に才能が花開く成長曲線は晩成馬のそれと言えます。
考察
まずは母父由来のNureyevクロス持ちの馬を3頭、紹介します。
血統情報:5代血統表|_________|JBISサーチ(JBIS-Search)
血統情報:5代血統表|_________|JBISサーチ(JBIS-Search)
上に挙げた2頭は母父にジャングルポケットを持ち、その母父にNureyevの名があります。1頭目のアテナブルーの2020はCaerleonの3×4のクロスも持っており、ロマンを感じる血統表に仕上がっています。
2頭目のミライポケットの2020は同様にNijinskyの5×5のクロスを持っており、甲乙つけがたい仕上がりです。ともに母のきょうだいに重賞馬・OP活躍馬を持ちますが、いずれの活躍時期も10年ほど前と、強調点としてはややインパクトに欠けることも共通しています。
血統情報:5代血統表|_________|JBISサーチ(JBIS-Search)
3頭目のプーシーの2020は母父ゴールドアリュールを介したNureyevの4×5を持っています。祖母父のエンドスウィープの母父にNorthern Dancer産駒Dance Spellが入っており、最後の一押しに欠けるものの、"血の集中"の形に当てはまっています。血統表の額面通りならダートで生きる筋持久力的なスピードに長けた馬だと想像できます。
次いで、Kingmamboクロスを持つ馬を2頭紹介します。
血統情報:5代血統表|_________|JBISサーチ(JBIS-Search)
1頭目のスリーアフロディテの2020は母父スズカマンボを経由したKingmamboの3×4、Nijinsky4×5×5のクロスを持っています。祖母父、三代母父とNorthern Dancerの系統で固められており、"血の集中"は形成されていますが、共に種牡馬では大成できなかった馬であり、そのあたりの影響が気がかりです。
血統情報:5代血統表|_________|JBISサーチ(JBIS-Search)
2頭目のトウカイミ―ロの2020は母父ワークフォースを経由したKIngmamboの3×4のクロス、Sadler's Wellsの注入された"血の集中"の形を持っていますが、三代母はトウカイテイオーの母であり、やや"古き良き…"という印象があり、最後の一押しに欠ける印象です。
上の2パターンとは違ったNureyevクロスを持つ2頭を紹介します。
_________|JBISサーチ(JBIS-Search)
1頭目のミッキークイーンの2020はベストトゥベストを実現した配合で、父母共にオーナーが同じということで、俗にいう"ダビスタ"配合とも見なせます。祖母父Gold Away→Goldneyev→Nureyevと遡るやや迂遠なNureyevクロスですが、Mr.Prospectorの4×5クロスも持ち、何より母の実績に期待を寄せずにはいられない、そんな配合です。
血統情報:5代血統表|_________|JBISサーチ(JBIS-Search)
2頭目のブロンシェダームの2020は祖母に2008年のスプリンターズSを制したスリープレスナイトを持つ良血ですが、三代母父にNureyevを持ち、それが4×5のクロスを形成しています。強調点は良血と、天下のノーザンファーム生産馬であるところでしょうか。
最後に、今までとは趣向を変えた2頭を紹介します。
血統情報:5代血統表|_________|JBISサーチ(JBIS-Search)
サダムルーティンの2020はボトムラインを介した牝馬クロスです。かなりマニアックなクロスですが、日本でもそれなりに展開している牝系であれば可能なものですので…
血統情報:5代血統表|_________|JBISサーチ(JBIS-Search)
スタンリープールの2020の特徴は5代アウトブリードです。母父キンシャサノキセキの祖母父がLyphardなので、7代血統表になるとクロスが発生しますが…
祖母に重賞6勝のブロードアピール、いとこに2018年のダービー馬ワグネリアンがいる良血なので、配合の系統はベストトゥベストになるでしょうか。
産駒を見てきましたが、"血の集中"で生まれた競走馬で、種牡馬としても同様の配合を再現することに期待されていると言えそうです。
以上、2022年新種牡馬:ミッキーロケット編でした。