こんにちは。高津です。
2022年新種牡馬も5頭目になりました。6月からは一口募集が本格化してきます。1頭でも多く、紹介できるよう進めていきます。
今回はフレッシュサイアー第5位の152頭の種付け・88頭の産駒登録がなされたデクラレーションオブウォーについて、考察していきます。
※アイコン写真は『JBBA日本軽種馬協会種牡馬展示会2021(全9頭) - YouTube』より転用しています。
種牡馬データ
2009年4月29日生
米国ケンタッキー州・Joseph Allen氏生産
種付け料:230万円(不受胎、流産、産駒死亡時返還)
血統(配合種牡馬)
War Front
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Danzig | Nearco | ||
Lady Angela | ||||
Natalma | Native Dancer | |||
Almahmoud | ||||
Pas de Nom | Admiral's Voyage | Crafty Admiral | ||
Olympia Lou | ||||
Petitioner | Petition | |||
Steady Aim | ||||
Starry Dreamer | Rubiano | Fappiano | Mr.Prospector | |
Killaloe | ||||
Ruby Slippers | Nijinsky | |||
Moon Glitter | ||||
Lara's Star | Aristphanes | |||
Trevisa | ||||
True Reality | Round Table | |||
Secret Promise | ||||
父:War Front→Danzig→Northern Dancer→Nearctic→Nearco
母:Tempo West
母父:Rahy→Blushing Groom→Red God→Nasrullah→Nearco
祖母父:Gone West→Mr.Prospector→Raise a Native→Native Dancer
三代母父:Nijinsky→Northern Dancer→Nearctic→Nearco
四代母父:High Hat→Hyperion
ファミリーライン
4代母Good Ragsは7戦して1966年の英1000ギニーを含む3勝の成績を残したイギリス産馬で、その仔にはGorytus('82 シャンペインS・T7F・英GII)、Terpsichorist('79 シープスヘッドベイH・T10F・米GII他重賞リステッド2勝)がいます。
3代母Terpsichoristは28戦11勝の成績を残したアメリカ産馬です。先述のようにリステッド・重賞レースを3勝しています。その仔にはDancing Devlette('92 ニューヨークH②・T10F・米GII)、Marry Me Do('94 チーフテンH・D8.5F・米Listedほかリステッド・ブラックタイプレース3勝)、Thebes('99 ダニエルファンクリフS②・T9F・米ブラックタイプレース)がいます。
祖母Tempoは3戦2勝の成績を残したアメリカ産馬です。その仔にUnion Rags('12 ベルモントS・D12F・米GIほかGI1勝、重賞2勝)がいます。
母Tempo Westは11戦3勝の成績を残したアメリカ産馬です。デクラレーションオブウォー以外には、War Correspondent('15 アップルトンS・T8F・米GIIIほか重賞1勝)や、Vertiformer('10 Grand Prix du Lion d'Angers・T2000m・仏Listed)を送り出しています。
各代に重賞で活躍する馬がおり、中でもUnion Ragsの名は目を惹きます。祖母、母の戦績が示す通り、ブラックタイプを得られなかった馬たちでも複数勝利を上げており、活力ある"打率"の高い牝系に属しています。
同配合馬
Danzig系種牡馬×Blushing Groom系牝馬の組み合わせからは、Goldikova(父Anabaa×母父Blushing Groom、'08-10 BCマイル・T8F・米GIほかGI11勝)、Trip to Paris(父Champs Elysees×母父Fantastic Light、'15 ゴールドC・T20F・英GI)、Aqlaam(父Oasis Dream×母父Rainbow Quest、'09 ムーランドロンシャン賞・T1600m・仏GI)、Frightening(父Langfuhr×Nassipour、'03 キャセイパシフィックゴールドC・T2500m・豪GII)が出ています。
マイルを主戦場とする馬、長距離戦を得意とする馬に分かれていますが、幅広い距離に対応できる証左と見ていいでしょう。母方に入ったBlushing Groomは距離の幅を広げてくれる印象があります。
戦績
2011年(2歳)2戦2勝 新馬、条件戦
2012年(3歳)3戦2勝 ダイアモンドS(GIII)
2013年(4歳)8戦3勝 ヘリテージS(Listed)、ロッキンジS⑤(GI)
クイーンアンS(GI)、エクリプスS②(GI)、サセックスS③(GI)
ジャックルマロワ④(GI)、英インターナショナルS(GI)
BCクラシック③(GI)
キャリア計 13戦7勝
フランスのジャン=クロード・ルジェ、アイルランドのエイダン・オブライエンの元競走生活を送り、2013年の欧州最優秀古牡馬を受賞しました。
同じWar Frontの分岐に属するアメリカンペイトリオットやザファクターの紹介時は「War Front分岐は北米に残っていることが多い」と述べましたが、この馬は旧大陸に”移住”しています。
勝利したのは7Fから10.5Fと、距離の融通性、英愛仏の芝に対応し、現役最終戦ではアメリカのダート馬場に対応した万能性、4歳に走った8戦では、遠征競馬をこなしながら、すべて掲示板を確保する安定性はまさに一流馬のそれでした。
考察
引退後、2014年から2018年にかけてアイルランドとオーストラリアのクールモアスタッド、アメリカのアシュフォードスタッドで供用され、初年度(2015年産)から北半球ではOlmedo('18 仏2000ギニー・T1600m・仏GI)、南半球ではVow And Declare('19 メルボルンC・T3200m・豪GI)、Wining Ways('19 クイーンズランドオークス・T2200m・豪GI)、2世代目(2016年産)からはWarning('19 ヴィクトリアダービー・T2500m・豪GI)、3世代目(2017年産)からはDecorated Invader('19 サマーS・T8F・加GI)、Gufo('20 ベルモントダービー招待S・T10F・米GI)4世代目(2018年産)からはFire at Will('20 BCジュヴェナイルターフ・T8F・米GI)が出ています。本邦輸入馬ではデュードヴァン('20 ユニコーンS②・D1600m・GIII)が出ています。
ダート競馬が主体の北米で芝競走、短距離・2歳戦中心のオセアニアで中長距離競走に実績が集中していることが気になりますが、実績ある種牡馬です。
配合を考えると、デクラレーションオブウォーはGlorious SongとSecrettameの2つの名牝を持っていますので、配合的にはこの牝馬を使ったクロスがキモになってきそうです。
血統情報:5代血統表|_________|JBISサーチ(JBIS-Search)
ボトムラインを介したRahy=Morn of Songsの全きょうだいクロスは非常に芸術点が高いと考えます。美しい血統表です。
GI馬7頭中3頭が母父にSadler's Wells系の種牡馬を持っており、日本に息づくSadler's Wellsを生かすと、こんな配合も考えられそうです。
結果表示|架空血統表|トピックス|JBISサーチ(JBIS-Search)
意外に長距離系の血統との配合の方がスピードが引き出されるのではないかなあ、と感じています。アメリカの内側馬場きついカーブに対応できているなら、日本のダート馬場への適性も見込めそうなので、もう少しBlushing Groomに寄った配合をすれば、ダート向きの上位産駒も見れるかもしれません。
結果表示|架空血統表|トピックス|JBISサーチ(JBIS-Search)
まとめると、すでに海外で実績があり、サブトラック適性が高そうな距離の融通が利く万能種牡馬といえます。