こんにちは。高津です。
POGの検討時期に入って弊ブログもPVバブル(当社比)が来ておりましたが、指名も締め切られ始め、平常運転に戻るのだろうな… と少し悲しい心持ちになっています。
私生活では投稿のピッチを上げたいところで病院のお世話になる事態に陥ってしまいましたが、週1本のペースを維持できるよう、頑張っていきたいですね。
さて、今回はフレッシュサイアー第4位の155頭の種付け・102頭の産駒登録がなされたマインドユアビスケッツについて、考察していきます。
※アイコン写真は『社台スタリオンパレード2021-Vol.2(新種牡馬以外23頭) - YouTube』より転用しています。
種牡馬データ
2013年3月15日生
米国ニューヨーク州・Jamping Jack Racing LLC生産
繋養先:胆振・社台スタリオンステーション
種付け料:受胎条件 200万円(フリーリターン特約付き)
血統(配合種牡馬)
Silver Deputy
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Nortern Dancer | |||
Victoria Regina | ||||
Mint Copy
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Bunty's Flight | |||
Shankey | ||||
Silver Valley
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Raise a Native | |||
Gold Digger | ||||
Seven Valleys
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Road At Sea | |||
Proud Ped | ||||
Raska
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Red God | |||
Runaway Bride | ||||
Halo | ||||
Ballade | ||||
Borishka
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Roberto |
Hail to Reason | ||
Bramalea | ||||
Queen Maud
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Nearctic | |||
Vent Neurf | ||||
父:Poose→Silver Deputy→Deputy Minister→Vice Regent
→Northern Dancer→Nearctic→Nearco
母:Jazzmane
母父:Toccet→Awesome Again→Deputy Minister→Vice Regent
→Northern Dancer→Nearctic→Nearco
祖母父:Stop the Music→Hail to Reason→Turn-to→Royal Charger→Nearco
三代母父:Master Derby→Dust Commander→Bold Commander
四代母父:On-and-On→Nasrullah→Nearco
ファミリーライン
4代母Mlle.Quilleは76戦6勝の成績を残したアメリカ産馬で、その仔にはWood Green('76 エルカホンS・D8.5F・米限定、'75 クリテリウムドゥメゾンラフィット2着・T1400m・仏GII)がいます。
3代母Bounreousは未出走のアメリカ産馬です。その仔にはDargai('90 ニアークティックS・D6F・加Listed)がいます。
祖母Alljazzは2戦0勝のカナダ産馬です。その仔にKing of Jazz('05 クイーンズプレート2着・D10F・加限定)、Kimchi('06 ウッドバインオークス・D9F・加限定)、カナダのステークス競走で2着してブラックタイプを得たDeputy Jazzがいます。
母Jazzmaneは未出走のアメリカ産馬です。マインドユアビスケッツは第3仔にあたります。マインドユアビスケッツを出産した次の年からは韓国で繁殖生活を送っています。
いとこ筋からは2014年のオールドハットS(D6F・米GIII)で2着したCo Colaが出ています。
遡った4代すべてで活躍馬は出ているものの、国内限定競走や重賞2着馬が多く、地味な印象の否めない牝系です。
同配合馬
Deputy Minister系種牡馬×Deputy Minister系牝馬の組み合わせからは、本馬のほかに目立った活躍馬は出ていません。
戦績
2015年(2歳)4戦0勝 ニューヨークブリーダーズフューチュリティ③
2016年(3歳)9戦4勝 未勝利、アムステルダムS(GII)、マイクリーS③
キングスビショップS(GI)⑤、ギャラントボブS(GIII)②
BCスプリント(GI)②、マリブS(GI)
2017年(4歳)6戦2勝 ガルフストリームパークスプリントS(GIII)②
ドバイゴールデンシャヒーン(GI)
ベルモントスプリントチャンピオンS(GII)②
BCスプリント(GI)③、シガーマイルH(GI)②
2018年(5歳)6戦2勝 ドバイゴールデンシャヒーン(GI)、メトロポリタンH(GI)②
キャリア計 25戦8勝
現役時代はロバート・N・ファルコーネJr、チャド・サマーズと2人の調教師で競走生活を送りました。
日本のファンには2018年のドバイゴールデンシャヒーンでの、直線入口最後方からの鮮烈な後方一気が記憶に新しいところです。その印象からBCスプリントを勝っていそうだと見ていましたが、2回挑戦して2着3着と勝ち切れていません。ゴールデンシャヒーンでの追走に苦労していた様子から、6Fは射程に入っていながらも、7F≒1400mがベストだったのではないでしょうか。
ゴールデンシャヒーン連覇後は種牡馬価値を高めるためか徐々に距離を伸ばし、9Fのルーカスクラシックを勝利しました。現役生活の締めくくりは10FのBCクラシックでしたが、流れに乗れず、"逆噴射"の形で現役を終えました。
考察
いくつか現役時代のレースを見て、本馬の適性から、考えてみましょう(スペースの都合上、タイトルのみの引用とします)。
Mind Your Biscuits - 2016 Amsterdam Stakes - YouTube
2016 Twinspires Breeders' Cup Sprint - YouTube
RACE REPLAY: 2016 Malibu Stakes Featuring Mind Your Biscuits - YouTube
RACE REPLAY: 2017 Gulfstream Park Sprint Featuring Unified, Mind Your Biscuits - YouTube
Dubai Golden Shaheen Sponsored by Gulf News - YouTube
2017 Belmont Sprint Championship - Mind Your Biscuits - YouTube
2017 TwinSpires Breeders' Cup Sprint - Roy H - YouTube
Race 6 Dubai Golden Shaheen Sponsored By Gulf News - YouTube
Bee Jersey - 2018 - The Runhappy Metropolitan Handicap - YouTube
2018 Whitney Stakes - Diversify - YouTube
2018 Breeders' Cup Classic - Accelerate - YouTube
負けた6Fのレースはいずれもスタートからの初速で劣り、離されたことが影響したと見ていいでしょう。ゴールデンシャヒーンは1回目が追走の成功、2回目は前がバテて届いた印象で、馬場があった感もあります。反面、GI初勝利となった7FのマリブSでは6Fのレースより2列ほど前に位置取れて、終いもさほど鈍っていません。8FのメトロポリタンHも位置を取りながら際どいところまで来ていますし、さらに1Fの延長となった9FのホイットニーSでもしっかり走り切れています。7F-9Fあたりが射程の短中距離馬と見ていいでしょう。
配合数の伸びは全体の30%ほどを社台系の4牧場が占めたことによるものでしょうが、特に社台ファームは30頭近くの牝馬を配したことから力の入りようがわかります。これは現役終盤の勝負服が吉田照哉さんのものになっていたことと無関係ではないでしょう。
他には岡田牧雄さん率いる岡田スタッドが10頭ほどの牝馬を配しており、社台グループの"下駄"で持ち上げられた種牡馬ではないと判断できます。
配合面では本馬の持つDeputy Ministerの3×4をさらに強調したこんな馬が生産されています。
血統情報:5代血統表|_________|JBISサーチ(JBIS-Search)
最近流行りの全きょうだいクロスを成立させるなら、カネヒキリを母父に配せば、このようになります。
結果表示|架空血統表|トピックス|JBISサーチ(JBIS-Search)
他には、父Posseが持つRahyを生かすなら、こんな配合もできそうです。
結果表示|架空血統表|トピックス|JBISサーチ(JBIS-Search)
Deputy Ministerを凝縮した、分岐は違いますがEnableのような袋小路血統という印象でしたが、意外とカスタマイズ性能が高く、面白い種牡馬ではないでしょうか。レーススタイルもサンデー系に近いように思え、スピードとある程度の距離の融通も利きそうです。ロードカナロアの成功を見るに、芝さえこなせば、天下取りまで駆け上がるかもしれません。
まとめると、生粋のスプリンターではないスピード馬で、血統表の印象より日本市場への親和性が高そうな種牡馬、と言えるでしょう。
以上、2022年新種牡馬:マインドユアビスケッツ編でした。