こんにちは。高津です。
前回の投稿から早くも約10日が経ってしまいました。
2022年の新種牡馬は23頭おり、1週間で1頭ずつ取り上げていって約半年かかる計算です。一口出資検討→POGの順で需要はやってくることになりますので、今から半年となると、11月ごろ。ターフの当歳募集も抽選は終わっている頃ですね。
少しでも検討に良い情報を提供できるように頑張ります。
今回は、サトノクラウンに次ぐ177頭の種付け・108頭の産駒登録がなされたリアルスティールについて、考察していきます。
※アイコン写真は『社台スタリオンパレード2021-Vol.2(新種牡馬以外23頭) - YouTube』より転用しています。
種牡馬データ
2012年3月1日生
安平・ノーザンファーム生産
繋養先:胆振・社台スタリオンステーション
種付け料:受胎条件200万円(フリーリターン特約付き)
血統(配合種牡馬)
父:ディープインパクト→サンデーサイレンス→Halo→Hail to Reason
→Turn-to→Royal Charger→Nearco
母:ラヴズオンリーミー
母父:Storm Cat→Storm Bird→Northern Dancer→Nearctic→Nearco
祖母父:Mr.Prospector→Raise a Native→Native Dancer
三代母父:Nureyev→Northern Dancer→Nearctic→Nearco
四代母父:Prove Out→Graustark→Ribot→Tenerani→Bellini
→Cavaliere d'Arpino→Havresac→Rabelais→St.Simon
ファミリーライン
4代母Pasadobleはアメリカで生まれ、フランスに渡って10戦4勝の成績を残しました。4勝の中には3つのリステッド競走が含まれていました。
3代母Miesqueは競馬史に名を残すアメリカ産馬で、仏米で16戦12勝の成績を残しました。ジャックルマロワ賞とBCマイルを連覇するなど、GI10勝を挙げました。
祖母Monevassiaはフランスで2戦0勝と、競走馬として大成することはありませんでしたが、全兄に英仏でGI4勝を挙げたKingmamboがおり、秘めていた能力は相当であったと考えられます。
母ラヴズオンリーミーは未出走で繁殖入りしていますが、半姉に愛仏でGIを2勝したRumplestileskinがおり、牝系の活力はまだ失われていないことを示しています。
ラヴズオンリーミーの仔たちは8頭が競走馬登録され、5頭が中央で勝利を挙げ、4頭がOP競走を勝利、リアルスティールとラヴズオンリーユーがGIを制しています。
2014年のヨークシャーオークス(T12F・GI)を制したTapestryはいとこにあたります。
ブラックタイプ表が埋まってしまいそうなぐらい各世代に活躍馬がおり、近年の勢い、実績ともに申し分ない、特A級の牝系に属しています。
同配合馬
父ディープインパクト×母父Storm Catの組み合わせからは、本馬のほかに2013年の日本ダービー(T2400m・GI)を制したキズナ、2013年の桜花賞(T1600m・GI)を制したアユサン、2014年のエリザベス女王杯(T2200m・GI)を制したラキシス、2016年のイスパーン賞(T1800m・GI)を制したエイシンヒカリ、2017年の安田記念(T1600m・GI)を制したサトノアラジンが出ています。
父ディープインパクト系種牡馬×母父Storm Cat系種牡馬の組み合わせからは2012年の仏1000ギニー(T1600m・GI)を制したBeauty Parlour(父ディープインパクト×母父Giant's Causeway)、2020年の日経新春杯(T2400m・GII)を制したモズベッロ(父ディープブリランテ×母父Harlan's Horiday)が出ています。
戦績
2014年(2歳)1戦1勝 新馬戦
2015年(3歳)6戦1勝 共同通信杯(GIII)、スプリングS(GII)②、皐月賞(GI)②
日本ダービー(GI)④、神戸新聞杯(GII)②、菊花賞(GI)②
2016年(4歳)5戦1勝 中山記念(GII)③、ドバイターフ(GI)、天皇賞・秋(GI)②
ジャパンC(GI)⑤
2017年(5歳)3戦1勝 毎日王冠(GII)、天皇賞・秋(GI)④
2018年(6歳)2戦0勝 ドバイターフ(GI)③
キャリア計 17戦4勝
当時の厩舎のトップホースは世代マイルGIを2勝したグランプリボスで、同期にはファイトガリバーの仔ペガサスボスや2015年の函館スプリントS(T1200m・GIII)3着のレンイングランドがいます。
1歳下には重賞2勝馬のドレッドノータス、2歳下には2019年の春秋グランプリホース・リスグラシューなどがおり、2012年の日本ダービーを制したディープブリランテの3歳電撃引退で途切れてしまった中長距離路線の系譜を再興。後輩に引き継いでみせました。
クラシックでは、春の二冠がドゥラメンテの前に敗退、菊花賞では春のクラシックで先着したキタサンブラックの見事なイン差しに敗退と、堅実に駆けるものの勝ち切れない、"善戦マン"の主役候補止まりでした。古馬初戦の中山記念(T1800m・GII)こそ敗れますが、UAEに遠征して出走したドバイターフ(T1800m・GI)でGI初制覇を果たします。以降は2017年の毎日王冠(T1800m・GII)1勝のみで終わりますが、6歳時のドバイターフ(GI)で3着するなど、タフさも備えていました。
秋の東京は②⑤④③と大きく崩れませんでしたが、春季の開催では④⑪⑮とフィットしませんでした。超高速馬場より、少し時計のかかるオーバーシード馬場が得意だったと見ていいでしょう。
考察
同じ父×母父の組み合わせを持つキズナはあらゆる条件に産駒を送り出す万能種牡馬と認識され始めており、馬場適性が近かったと映るエイシンヒカリも短距離から中距離まで対応する産駒を送り出しています。
母父Storm Catを持つ種牡馬にはロードカナロア、Speightstownがいます。自身はスプリント・マイルの2階級王者だったロードカナロアはジャパンC(T2400m・GI)2勝のアーモンドアイや皐月賞(T2000m・GI)を制したサートゥルナーリアを、BCスプリント(D6F・GI)を制したスプリンターであったSpeightstownは自身と同じようなスプリンターからマイラー・中距離馬を送り出しており、母父Storm Catはイメージよりバリエーションを持っていそうです。
また、中速馬場への適性を見込まれてか、2019/2020シーズンにはオーストラリアにシャトルに出されており、かなり期待されているように映ります。それを裏付けるように、2021年天皇賞・春(T3200m・GI)を制したワールドプレミアの母マンデラ、米GI馬のユーロシャリーン、英GI馬のリッスン、シーザリオの仔ロザリンドなどが初年度の配合牝馬に選ばれています。
先例から種牡馬タイプを予測することは困難ですが、遺伝力を発揮すればマイル~中距離を得意とする産駒を出すのではないでしょうか。