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2021年新種牡馬:ラニ

こんにちは。高津です。

 大変更新に長い間を置いてしまいました。自分で始めた企画ですが、すっかり忘れてしまいそうになっていました。

今回はラニその産駒について考察していこうと思います。

 

種牡馬データ

2013年2月22日生

米国ケンタッキー州ノースヒルズマネジメント生産

父:TapitPulpitA.P.IndySeattle SlewBold ReasoningBoldnesianBold Ruler

母:ヘヴンリーロマンス

母父:サンデーサイレンス

母母父:Sadler's WellsNorthern Dancer

母母母父:RibotTeneraniBelliniCavaliere d'ArpinoHavresacRabelaisSt.Simon

母母母母父:DedicatePrincequiroPrince RoseRose Prince

                      →Prince PalatinePersimmonSt.Simon

牝系は北米から欧州、日本で勢力を拡大している系統です。

日本にやってきたのは祖母のファーストアクトで、最初は門別の中規模牧場に導入されています。門別で4年ほどを過ごして新冠ノースヒルズに移りました。新冠に移っての第2仔がヘヴンリーロマンスでした。

ヘヴンリーロマンスは2歳から5歳にかけて33戦8勝、2005年の天皇賞・秋(T2000m)を含む重賞4勝を挙げる活躍を見せました。競走馬引退後は生まれ故郷に戻り、繁殖馬となりました。第4仔アウォーディーを妊娠中に米国に渡り、米国での第3仔(全体では第6仔)がラニです。

母母父のSadler's Wellsが欧州のイメージが強い(El PradoMedaglia d'OroKitten's Joyを出して北米でも一定の勢力を持っていますが)以外は米国色の強い血統といえます。

父系はパイロカジノドライヴなどが活躍馬を送り出していますが、サンデーサイレンスの影響力の根強い日本では異系寄りの血統といえます。

母父サンデーサイレンスさえ克服できれば、異系種牡馬として扱えるかもしれません。

 

 

戦績:

2015年(2歳)4戦2勝 未勝利②、未勝利、カトレア賞(500万下)

2016年(3歳)8戦1勝 UAEダービーベルモントS③、ブラジルC

2017年(4歳)5戦0勝

キャリア計  17戦3勝

 

戦績から機械的に判断すると3歳春までの早熟ダート馬ということになりますが、3歳春の海外遠征は立て直しに時間がかかったり、立て直せずそのまま引退してしまったりとリスクが伴います。その中でUAE→米国の遠征をこなして10月に戦列復帰、翌年も遠征したことから、肉体的、精神的な強さは相当であると考えられます。

反面、気性難を抱えていたこと、2000mでレースですら「距離はもっとあった方がいい」と評されただけに、適鞍がなかった面もあると考えています。事実、ベルモントS(約2414m)で3着、2100mのブラジルCブリリアントSで3着→4着→5着と一定の成績を残しました。短所も多く見える馬ではありますが、肉体的な強さ、気性難と表裏一体の精神的な強さが評価されて118の種付け数を得たのだと考えます。

 

産駒ピックアップ紹介

ラニ産駒83頭のうち、10頭をピックアップして紹介します。

 

ウインプラチナム2019My Bupers系

母ウインプラチナムは2005年生まれのゼンノエルシド産駒で、現役時代は12戦2勝の成績を残しました。きょうだいに活躍馬はいませんが、祖母ダイヤモンドビコーは'02 阪神牝馬S(T1600m)を含む重賞4勝を挙げています。

米国産馬My Bupersを基盤として発展したファミリーに属しています。同じファミリーからはハーツクライサンデーサイレンス、'05 有馬記念)、ミッキーアイルディープインパクト、'16 マイルCS)、ラッキーライラックオルフェーヴル、'20 大阪杯)、アエロリットクロフネ、'17 NHKマイルC)が出ています。

Pulpit種牡馬×Nijinsky牝馬の組み合わせからは、タピッツフライTapit、母父Marlin、'12 ファーストレディS・米D8F)が出ています。

母は社台ファームの生産馬ですが、本馬は新冠の村上欽哉さんの生産馬です。地方競馬で2勝を挙げた 母の適性を見てダート馬を狙った配合でしょうか。サンデーサイレンスの3×3は近年多く試行されている組み合わせですので、濃過ぎるということはないと見ています。

 

サリエル2019Where You Lead系

サリエルは2007年生まれのキングカメハメハ産駒で、現役時代は27戦4勝のほか、'10 ファルコンS3着の成績を残しました。半兄にウインレジェンドサンデーサイレンス、'06 葵S・T1400m)がいるほか、祖母シンコウノビーは'95 ファンタジーS2着の実績があります。

'73オークス(英T12F)2着馬Where You Leadを基盤に勢力を拡大する牝系の出身です。Rainbow QuestBlushing Groom、'85 凱旋門賞)、コマンダーインチーフダンシングブレーヴ、'93 エプソムダービー・英12F)、ウォーニング父Known Fact、'88 サセックスS・英T8F)が出ています。

Pulpit種牡馬×Kingmambo牝馬の組み合わせからは、目立った活躍馬は出ていません。Kingmambo自身はアメリカ産馬ですが、欧州や日本など、輸出された先で活躍馬が出ていることが影響していると考えられます。

母仔ともに新冠ノースヒルズ生産馬です。

母は芝重賞の実績を持っており、芝の競走で未勝利を脱出、ダート競走に転じて3勝を挙げました。繁殖成績のいいファミリーの出身でもありますので、期待したいところですね。ラニ新馬戦は芝の競走で4着と全くダメではありませんでしたし、芝の適性も兼ね備えている可能性もあります。

 

アージュ2019輸入牝系

母シアージュは2010年生まれのRaven's Pass産駒で、現役時代は10戦0勝の成績を残しました。きょうだいに活躍馬はいませんが、母としてディープダイバーブラックタイド、'19 橘S・T1400m)を送り出しています。

Pulpit種牡馬×Gone West牝馬の組み合わせからは、目立った活躍馬は出ていません。

本馬は新冠・平山牧場の生産です。セール情報、一口クラブ、共有馬主での募集もありませんので、今後の話は分かりません。Sadler's Wellsの3×4のクロスが成立することが配合の主題と見ています。

 

 

スウィングベル2019ヴァインゴールド系

母スウィングベルは2007年生まれのゴールドアリュール産駒で、現役時代は中央→高知で走り、73戦して'11 珊瑚冠賞を含む21勝の成績を残しました。半兄にアグネスアークアグネスタキオン、'07 天皇賞・秋2着)がいます。

社台グループが輸入した米国産馬ヴァインゴールドを基礎とした牝系の出身です。同ファミリーからはビハインドザマスクホワイトマズル、'01 スワンS)、コイウタフジキセキ、'07 ヴィクトリアマイル)、サンライズソアシンボリクリスエス、'18 平安S)、ベールドインパクトディープインパクト、'13 京都記念2着)、ユラノトキングカメハメハ、'19 フェブラリーS3着)が出ています。

Pulpit種牡馬×SS系牝馬の組み合わせからは、ラニのほか、アクアリーブルパイロ母父ブラックタキシード、'20 関東オークス2着)が出ています。 

母は社台ファームの生産ですが、本馬は三石・坂本牧場の生産馬です。先日の北海道サマーセールで539万円(税込)で落札されました。

中央か地方か、落札価格での推測は微妙なところです。購買者も聞き馴染みのない会社でしたし、追跡はしておいた方がいいかもしれません。

 

トキノメイゲツ2019アコニット系

母トキノメイゲツは2009年生まれのクロフネ産駒で、現役時代は南関東で11戦2勝の成績を残しました。半兄にオペラハット父オペラハウス、'99 東京王冠賞・大井D1800m)がいます。

ファミリーからは祖母のアコニットローマン('93 東京プリンセス賞・大井D1800m)のほか、いとこにスリーロールスダンスインザダーク、'09 菊花賞)が出ています。

Pulpit種牡馬×フレンチデピュティ牝馬の組み合わせからは、クインズサターンパイロ母父クロフネ、'18武蔵野S2着)、Deputy Minister牝馬に拡大するとFrostedTapit母父Deputy Minister、'15 ウッドメモリアルS・米D9F)が出ています。

4代続けて静内・大典牧場の生産馬で、8月末に開催された北海道サマーセールに上場されましたが、主取りとなりました。

5代内アウトブリードで、血統的に強調できる部分はありません。

 

エーシンシャイナー2019ホイスリングウインド系

母エーシンシャイナーは2010年生まれのグラスワンダー産駒で、現役時代は2戦0勝の成績を残しました。半兄にエーシンニーザンフォーティナイナー、'05 プリンシパルS・T2000m)、エーシンリターンズキングカメハメハ、'10 桜花賞3着)がいます。

おそらく社台ファームが輸入したホイスリングウインドを基盤に日本で発展した牝系の出身で、祖母にあたるエイシンサンサンキャロルハウス、'94 小倉3歳S)が出ています。

Pulpit種牡馬×Roberto系牝馬の組み合わせからは、Time and MotionTapit母父Kris S. 、'16 クイーンエリザベス2世チャレンジS・米T9F)、UnitarianPulpit母父Dynaformer、'14 エルクホーンS・米T12F)が出ています。

母は浦河の栄進牧場生産ですが、本馬は三石の信田牧場の生産です。エイシンニシパワイルドラッシュ、'19 兵庫大賞典・園田D1870m)を生産していますので、栄進牧場に収容しきれない牝馬の預託を受けて生産される形になのかもしれません。

Hail to ReasonNorthern Dancerの5×5が出来ていますが、双方ともに日本で勢力を持っている馬ですので、配合のエッセンスとまでは言えないと見ます。ですので、アウトブリード志向の配合と考えます。

 

コンプリカーター2019オールアバウトスタイル系

母コンプリカーターは1998年生まれのMp.Prospector産駒で、現役時代は9戦1勝の成績を残しました。半兄にはオープニングテーマ(父Seeking the Gold、'97 中日スポーツ杯4歳S・T1200m)がおり、母としてレーザーバレットブライアンズタイム、'16 オーバルスプリント・浦和D1400m)を送り出しています。

ノースヒルズが輸入したオールアバウトスタイルを基礎に広がったファミリーで、ドリームシフト(父、'05 兵庫クイーンカップ2着・園田D1700m)やビギンマニューバーフジキセキ・中央OP馬)が出ています。

Pulpit種牡馬×Roberto系牝馬の組み合わせからは、Time and MotionTapit母父Kris S. 、'16 クイーンエリザベス2世チャレンジS・米T9F)、UnitarianPulpit母父Dynaformer、'14 エルクホーンS・米T12F)が出ています。

母と揃ってノースヒルズの生産馬で、目を引くのはMr.Prospectorの2×5のクロスでしょう。衝撃的な血統表に仕上がっていますが、2×3のインブリードG1まで勝った馬は多数いますし、気にするほどではないかもしれません。ただ、米国で「Godzilla」と呼ばれた馬を父に配しての配合は自家生産・所有ならではかもしれません。

 

シェルエメール2019ゲイアティーガール系

母シェルエメールは2008年生まれのジャングルポケット産駒で、現役時代は26戦2勝の成績を残しました。きょうだいに活躍馬はいませんが、母としてコルテジアシンボリクリスエス、'20 きさらぎ賞)を送り出しています。

日本で発展を始めているファミリーでありますが、別分岐からはテイエムオーロラマンハッタンカフェ、'10 府中牝馬S)が出ています。

Pulpit種牡馬×Grey Sovereign牝馬の組み合わせからは、Walk CloseTapit母父In Excess、'15 モデスティH・米T9.5F)が出ています。

母と同じくノースヒルズ生産馬で、配合面は珍しくなくなったサンデーサイレンスの3×3、Northern Dancerの5×5×5ですが、Sadler's WellsNijinskyNureyevと見事に別の分岐で下ってきているのは美しいですね。Nijinskyの4×5クロスも底力を補強してくれそうです。「重賞馬の下は走らない」なんて格言もありますが、母親もまだ若いころの産駒ですし、芝向きに出てくれるといいですね。

 

ヒラボクウィン2019エンキャンタドゥ系

母ヒラボクウィンは2008年生まれのワイルドラッシュ産駒で、現役時代は4戦0勝の成績を残しました。半兄にヒラボクキングキングカメハメハ、'12 平安S・D1800m)がいるほか、母としてヒラボクラターシュキンシャサノキセキ、'19 佐賀記念・佐賀D2000m)を送り出しています。

輸入牝馬エンキャンタドゥを起点とした牝系の出身で、今発展中のファミリーです。

Pulpit種牡馬×Wild Again牝馬の組み合わせからは、パイロPulpit母父Wild Again、'09 フォアゴーH・米D7F)、ジョイフルビクトリーTapit母父Wild Again、'13 サンタマルガリータS・米D9F)が出ています。

 

母とともに浦河の辻牧場の生産馬です。5代血統表はSeattle Slewの4×5、Haloの4×5のクロスがある程度で、北米系の血統構成とみなすことができるでしょう。

半兄たちはセレクトセールや北海道セールに上場されており、初めての牝馬であるすぐ上の姉は牧場名義で所有されています。本馬もそうなるのでしょうか?

 

ムレイニー2019輸入牝系

母ムレイニーは1999年生まれのStar de Naskra産駒で、現役時代はアメリカで走り、21戦して'02 ダッチェスS(米D7F)を含む4勝の成績を残しました。きょうだいに目立った活躍馬はいませんが、母としてカンムルサマーバード、'17 埼玉新聞杯栄冠賞・浦和D1900m)を送り出しています。

北米で主に発展した牝系の出身です。

Pulpit種牡馬×Naskra系牝馬の組み合わせからは、HarpoonTapit母父Star de Naskra、'14 サムFデイヴィスS2着・米D8.5F)が出ています。

本馬は青森の風ノ丘ファームの生産馬で、八戸サラブレッド市場1歳セールにて506万円で高橋正雄さんに落札されました。

アウトブリードで健康志向の配合と判断できます。まずは獲得賞金の購買価格超えを目指して、勝利を目指してほしいですね。

 

 

以上、2021年新種牡馬ラニ編でした。