2020/4/25に東京競馬場で施行されるフローラステークス(GII)について見ていきます。
レース概要
1966年に「サンケイスポーツ賞4歳牝馬特別(オークストライアル)」として創設されました。2001年に馬齢表記の規則が変更されたことに伴い「サンケイスポーツ賞フローラステークス(オークストライアル)」と改称されました。
コースは創設から1986年まで芝1800m、1987年からはオークスとの相関をより高めるために芝2000mに設定されています。
・レース名
サンケイスポーツ賞4歳牝馬特別(オークストライアル)(1966-2000)
→サンケイスポーツ賞フローラステークス(オークストライアル)(2001-)
・距離条件
芝・1800m(1966-1986)
→芝・2000m(1987-)
コース概要
1コーナー奥にスタートゲートが置かれ、スタート後100mほどで大きな左カーブがある。向こう正面から周回コースに合流、3-4コーナーを通って直線に向いてくる。
3コーナー手前から緩やかに上り、3-4コーナーで下り、直線の途中からなだらかな登りのレイアウトになっています。コース全体の高低差は2.7mで、最終直線の長さは525.9mあります。
出走馬紹介
1枠1番のエレヴァテッツァ。
ディープインパクト×トニービン牝馬の活躍馬はサトノノブレス('14 日経新春杯)と後述する全兄フェルメッツァがいます。サトノノブレスは'13 菊花賞2着など長距離での実績もあり、ディープインパクトの母父Alzaoとトニービンのスタミナが共鳴強調される配合と見ます。
全兄にフェルメッツァ('17 小倉記念3着)半兄にフラガラッハ(父デュランダル、'13 中京記念)、半姉にイリュミナンス(父マンハッタンカフェ、'15 クイーンS3着)、エスティタート(父ドリームジャーニー、'19 シルクロードS2着)と活躍馬続出の兄弟で、近親にサンダーガルチ(父Gulch、'95 ケンタッキーダービー)、バトルライン('97 プロキオンS)の兄弟がいるほか、三代母Shooting a Lineはアイルランドオークスを制しています。
前走で未勝利を脱出、4か月半の間隔を置いての出走です。
前走掛かり気味に見えますが、兄姉も掛かり気味に走るような馬でしたので、問題はないでしょう。
1枠2番のセイウンヴィーナス。
サンデーサイレンスの3×3と、かなり強いインブリードを持ちます。
カレンブラックヒル×ダンスインザダーク牝馬の組み合わせで活躍馬はまだ本馬以外にはいませんが、ダンスインザダーク牝馬は同じSS孫種牡馬のリーチザクラウンとの組み合わせでキョウヘイ('17 シンザン記念)を送り出しています。
半姉ローズカラーは地方重賞の勝ち馬ですが、このメンバーに入ると若干地味に見えてしまう牝系ですが、一族からは「究極の美女」ことマックスビューティが出ています。
初勝利は東京マイル、前走も東京マイルで3着と東京コースは合うようです。距離が微妙なところですが、有利枠を生かして粘り込みたいところです。
2枠3番のウインマリリン。
スクリーンヒーロー×Fusaichi Pegasusu牝馬の活躍馬は本馬以外にはまだ出ておらず、Roberto系の別分岐まで拡大してグラスブルース(父シンボリクリスエス、'19 横手特別・1000万下)が出てくる程度です。Fusaichi Pegasus産駒は気性難を抱える傾向があり、繁殖として嫌われる面があるのかもしれません。
半兄にウインマーレライ(父マツリダゴッホ、'14 ラジオNIKKEI賞)、ウインヴォラーレ(父ステイゴールド、3勝)、イペルラーニオ(父ディープインパクト、3勝)と堅実に勝ち上がるハイアベレージな牝系です。父から意外ですが、ニュージーランドにルーツを求められる一族でもあります。
中山で3戦を経験してきていますが、先行力もあり、侮れないところです。半兄2頭が東京で勝ち上がっていることもあり、潜在的な適性もありそうです。
2枠4番のシャンドフル-ル。
キズナ×Gone Westの組み合わせで目立った活躍馬は出ていませんが、キズナ×Gone West系牝馬に拡大するとマルターズディオサ(母父Gland Slam、'20 チューリップ賞)が出ています。
兄姉に重賞戦線で活躍した馬はいませんが、叔父にスマートダンディー(父エンパイアメーカー、'19 コーラルS)がいる牝系です。
逃げて500万下クラスを卒業しており、積極策のほうが成果につながりそうです。
3枠5番のルトロヴァイユ。
初年度産駒ということで配合組み合わせのデータは蓄積されていませんが、Roberto系種牡馬×マンハッタンカフェ牝馬の組み合わせでショウナンラグーン(父シンボリクリスエス、'14 青葉賞)やダンツプリウス(父ブライアンズタイム、'16 ニュージーランドT)、プリンスリターン(父ストロングリターン、'20 シンザン記念2着)が出ています。
半兄にショウナンラグーン(前述)、ヴァントシルム(父ジャングルポケット、現役4勝)がおり、血統から中長距離向きといえそうですし、500万条件ながら東京2400mでの入着経験を持つ点は、距離不安がないという強みにつながると考えます。
3枠6番のウィスパリンホープ。
ハーツクライ×Cape Cross牝馬の組み合わせはペイシャフェリシタ('18 キーンランドC3着)が出ています。
半姉にThe Miniver Rose(父High Chaparral、'20 パークヒルS)、Belle de Crecy(父Rock of Gibraltar、'13 ブランドフォードS)と活躍馬が出ています。
未勝利を勝利しての格上挑戦です。ここが試金石というところでしょうか。流れに乗っていい着順を狙いたいところでしょう。
4枠7番のホウオウピースフル。
オルフェーヴル×キングカメハメハ牝馬の組み合わせはタガノディアマンテ('19 きさらぎ賞2着)が出ています。
半兄にブラストワンピース(父ハービンジャー、'18 有馬記念)がおり、一族からはアルナスライン(父アドマイヤベガ、'09 日経賞)が出ています。
新馬、500万下を連勝、クイーンC6着以来、中9週での出走です。先行しての決め手が武器の面もあり、不利のない中枠を引けたことは僥倖といえるでしょう。
仕上がり具合とメンタル面をチェックしたいですね。
4枠8番のリヴァージュ。
ノヴェリスト×アグネスタキオン牝馬の組み合わせは3勝を挙げているダイワメモリー(母ダイワスカーレット)がいる程度で目立った活躍馬はまだ出ていません。SS系牝馬に拡大するとラストドラフト('19 京成杯)が出ています。
先述のダイワメモリーは3/4同血にあたる馬で、一族にはダイワメジャー(父サンデーサイレンス、'04 皐月賞)、ダイワスカーレット(父アグネスタキオン、'08 有馬記念)、ダイワファルコン(父ジャングルポケット、'13 福島記念)が属しています。
新馬戦を首尾よく逃げ切りましたが、前走は荒れ馬場も苦にして敗退でしたが、それなりにメドの立つ内容でした。フレッシュな馬場で見直す余地はありそうです。
5枠9番のスカイグルーヴ。
初年度産駒ということ配合データの蓄積はありませんが、先日桜花賞を制したデアリングタクトが同じ配合組み合わせを持っています。
姉こそ成果を挙げていませんが、叔父にドゥラメンテ(父キングカメハメハ、'15 東京優駿)がいるほか、日本屈指の名牝系の出身です。
新馬戦を勝利して挑んだ前走は、勝ちパターンに入れながら伏兵の脚に屈する形になりました。牡馬相手に強い競馬でしたが、先着された牡馬はレース中に故障したとはいえクラシックで大敗。レベルに関しては疑ってかかる必要があるかもしれません。
5枠10番のヒューマンコメディ。
ハーツクライ×ウォーエンブレム牝馬の組み合わせは3勝を挙げたサトノグランがいる程度で、ウォーエンブレム牝馬の絶対数の問題もあり、信頼できる数字もありません。
三代母は秋華賞を制したファビラスラフインであり、一族からはギュスターヴクライ(父ハーツクライ、'13 阪神大賞典)やブレイズアトレイル(父ダイワメジャー、'14 京成杯オータムH2着)が出ています。
重馬場の中追い込みを決めての未勝利卒業でした。スタミナ勝負になれば面白いかもしれません。
6枠11番のレッドルレーヴ。
キングカメハメハ×ディープインパクト牝馬の組み合わせは本馬のほか、ランフォザローゼス('19 青葉賞2着)、ヴァナヘイム(’16 ラジオNIKKEI杯京都2歳S2着)などが出ています。
スカイグルーヴと同じ一族の出身です。
前走フラワーカップで重賞にもメドは立ちましたし、1ハロン延長も問題なくこなすと見ていいでしょう。
6枠12番のヴォリアーモ。
ルーラーシップ×アドマイヤベガ牝馬の組み合わせにまだ目立った活躍馬は出ていません。Kingmambo系種牡馬に拡大しても半兄マグナレガーロ(父キングカメハメハ、'20 舞鶴特別・1600万下)がいる程度と、あまり走っている印象がありません。
福島牝馬Sに出走していたフィリアプーラと同じ一族の出身で、サクラバクシンオー、アルフレードなどが属しています。
前走は東京2400mで2着するなど、母とは対照的に長距離適性を見せました。クラスメドも立っていますし、スタミナを生かして上位争いもあるかもしれません。
7枠13番のシャレード。
ダイワメジャー×Azamourの組み合わせは全兄ダノンメジャー('14 ラジオNIKKEI杯京都2歳S2着)と、SS系種牡馬に拡大して半兄ダノンキングダム(父ステイゴールド、5勝)がいる程度と、産駒数自体が少ないことも影響しています。
前述のように、兄姉馬はダノンメジャーとダノンキングダムが活躍しています。
一族からは叔父にVisionary(父Linamix、'97 マッチェム賞)、Visorama(父Linamix、'03 フロール賞)、Visindar(父Sindar、グレフュール賞)、Varenar(父Rock of Gibraltar、フォレ賞)出ています。
国際レベルの良血ながら、出走メンバー最多のキャリアですが、条件戦でもやや壁を感じるところです。適距離を探す意味での出走でしょうし、ハマることを期待したいですね。
7枠14番のテイエムフローラ。
スクリーンヒーロー×タイキシャトル牝馬の組み合わせからは目立った活躍馬は出ていません。Roberto系種牡馬に拡大するとダンツキッスイ(父シンボリクリスエス、'08 アーリントンC)が出ています。
兄姉に目立つ活躍馬はいませんが、アストニシメントに遡れる土着の牝系で、ファイトガリバーと遠縁でもあります。
前走は牡馬との混合重賞に挑みましたが、入着はなりませんでした。重賞続戦となりますが、相手関係も少し楽になるでしょうから前進を期待したいですね。
8枠15番のショウナンハレルヤ。
キズナ×クロフネ牝馬の組み合わせから目立った活躍馬はまだ出ていませんが、ディープインパクト×クロフネ牝馬に拡大するとシャイニングレイ('14 ホープフルS)やステファノス('15 天皇賞・秋2着)が出ています。
一族に目立った活躍馬はいませんが、五代母は1000ギニーの勝ち馬です。
東京で2勝を挙げているだけに、この舞台は望むところでしょう。成長してアルテミスS以上の結果を狙ってくるでしょう。
8枠16番のフアナ。
ルーラーシップ×ディープインパクト牝馬の組み合わせからはキセキ('17 菊花賞)やヴィッテルスバッハ('19 ニュージーランドT3着)が出ています。
本馬が初仔ですが、叔父にアドミラブル(父ディープインパクト、'17 青葉賞)、叔母にエスポワール(父オルフェーヴル、'19 ターコイズS2着)がいる血統で、一族からはアンライバルド(父ネオユニヴァース、'09 皐月賞)やヴィクトリー(父ブライアンズタイム、'07 皐月賞)、リンカーン(父サンデーサイレンス、'04 阪神大賞典)が出ています。
初戦は若葉Sを制したアドマイヤビルゴに敗れましたが、一息入れて返す刀で未勝利戦を卒業。また間隔をあけての参戦です。昇級戦でいきなりの重賞挑戦は期待の表れでしょうが、厳しい戦いになるでしょう。ここが試金石ですね。
8枠17番のレッドサーシャ。
叔父にレッドエルディスト(父ゼンノロブロイ、'16 青葉賞2着)がいる牝系に属しています。
新馬戦勝ちからの参戦です。期待馬素質馬であることが推察されますが、ここでの通用度が今後を占う意味を持つでしょう。
評価
◎ホウオウピースフル
東京コースでの実績を重視して、筆頭に。精神的な成長は放牧では促せないと聞きますが精神面は注目したいところです。
〇スカイグルーヴ
実績上位ですが、京成杯のメンバーに疑問符が付く分評価を下げました。
▲レッドルレーヴ
東京実績は十分ですし、人気ほど差はないと思い3番手に指名しました。
☆ウインマリリン
内残りとすればこの馬だろうということでの指名です。
△エレヴァテッツァ、ヴォリアーモ、フアナ
内枠有利に働くエレヴァテッツァ、先行叶えば渋太そうなヴォリアーモ、能力評価したフアナを挙げました。
以上、第55回 フローラステークス(GII) プレビューでした。