2020/4/25に福島競馬場で施行される福島牝馬ステークス(GIII)を見ていきます。
レース概要
福島牝馬Sは2004年、牝馬重賞路線の拡充に伴って創設されました。
出走条件は4歳以上の牝馬、重量は別定で、これは創設から変わっておらず、使用コースも芝1800m(2011年のみ新潟競馬場での施行)であることは変わっていません。
コース概要
正面直線半ばにスタートゲートが置かれ、1周回ってきてゴールになります。
スタート直後に緩やかに上り、向こう正面でも緩く上り、3-4コーナーから下り、最終直線の残り150mからまた上るというレイアウトです。
コース全体の高低差は1.9m、芝コースの直線の長さは292~299.7mでコースごとに微妙に変わりますが、今回はBコースなので、297.5mの長さです。
出走馬紹介
1枠1番のエスポワール。
オルフェーヴル産駒の4歳牝馬で、前走中山牝馬Sからは中5週の出走です。
オルフェーヴル×シンボリクリスエス牝馬の組み合わせは本馬以外にもオーソリティ('20 ディープインパクト記念3着)、エングレーバー('19 プリンシパルS2着)がおり、中長距離を意識した配合と見ることができるでしょう。
半兄にはアドミラブル(父ディープインパクト、'17 青葉賞)、叔父にリンカーン(’04 阪神大賞典等)、ヴィクトリー('07 皐月賞)がいる牝系です。
昨秋のオープン入り以後、牝馬重賞戦線で2着→3着と上位争いを続けています。今回の有力馬の1頭に上がる1頭です。
1枠2番のフィリアプーラ。
ハービンジャー産駒の4歳牝馬で、前走中山牝馬Sからは中5週の出走です。
ハービンジャー×サンデーサイレンス牝馬の組み合わせはペルシアンナイト('17 マイルCS)やドレッドノータス('19 京都大賞典)が出ている、マイル~クラシックディスタンスを意識した配合といえるでしょう。
半兄にアルフレード(父シンボリクリスエス、'11 朝日杯FS)、叔母にリビアーモ(父アドマイヤベガ、'10 オーロC)、三代母まで遡るとサクラバクシンオー(父サクラユタカオー、'94 スプリンターズS)、ミッキードリーム(父キングカメハメハ、'11 朝日チャレンジC)のいる牝系です。
3歳重賞のフェアリーSを制しましたが、クラシックではめぼしい成果を上げるには至りませんでした。追い込み一手のタイプなだけに、展開の助けが欲しいところです。
2枠3番のサラキア。
ディープインパクト産駒の5歳牝馬で、前走愛知杯から3か月半の間隔を置いての出走です。
ディープインパクト×Lomitas牝馬の組み合わせは半弟サリオス(父ハーツクライ、'19 朝日杯FS)がいます。
母サロミナはドイツオークスの勝ち馬、半弟サリオス、叔父(母の全兄)にSalut('13 カジノハーデンバーデン賞)など、活躍馬の多い牝系です。
'18 ローズS2着や同年の秋華賞4着の実績を持ちますが、オープンでは今一つ勝ち切れないところがあります。
2枠4番のアロハリリー。
ハーツクライ産駒の5歳牝馬で、前走小倉大賞典から中8週での出走です。
ハーツクライ×キングカメハメハ牝馬の組み合わせはラーゴブルー('19 マリーンC)がいるほか、牝馬をKingmambo系に拡大するとロードゴラッソ(母父Kingmambo、'19 シリウスS)やツルマルレオン(母父Kingmambo、'13 北九州記念)、ディアマイダーリン(母父Kingmambo、'15 クイーン賞)が出ています。
近年の父のダート産駒傾向が出ていますが、元よりKingmamboは母の父にNureyevを持っていますので、ダートに出やすいのはその影響でしょう。
中京で3勝、小倉で2勝を挙げているローカルホースですが、昨夏の小倉日経OPの勝利以降は苦戦が続いています。先行力はありますが、近走はお釣りが残せず敗退しています。道中の息の持ちがカギでしょう。
3枠5番のリープフラウミルヒ。
ステイゴールド産駒の5歳牝馬で前走美浦S(1600万下)から中1週での出走です。
ステイゴールド×クロフネ牝馬の組み合わせはアイスフォーリス(’12 オークス3着)、ラインハート('17 JBCレディスクラシック3着)などが出ています。
兄姉に目立った活躍馬はいませんが、叔父にフェイトフルウォー(父ステイゴールド、'11 セントライト記念)がいます。間接的ですがニックス配合といわれたステマ配合が成立していますね。
札幌で2勝を挙げており、一定の小回り適性を持っていると推察されますが、クラスでも上位争いできていますし、ハマれば一発もあるかもしれません。
3枠6番のカリビアンゴールド。
ステイゴールド産駒の6歳牝馬で、前走中山牝馬Sからは中5週の出走です。
ステイゴールド×Cape Cross牝馬の組み合わせは本馬以外だと先日1000万下を勝ち上がったゴールドスミスがいます。母父Danzigの別分岐に拡大するとフェノーメノ(母父デインヒル、'14 天皇賞・春)やシルクメビウス(母父ポリッシュネイビー、'10 東海S)、ウインガニオン(母父ポリッシュネイビー、'17 中京記念)が出ています。
牡馬混合のオープンでも入着の経験があり、前走期待されましたが馬場に泣いた形になりました。先行力と粘りは通用してもおかしくありませんから、流れが向けば一発あるでしょう。
4枠7番のマルシュロレーヌ。
オルフェーヴル産駒の4歳牝馬で前走四国新聞杯(1000万下)から中3週での出走です。
オルフェーヴル×フレンチデピュティ牝馬の組み合わせで活躍馬はまだいませんが、ステイゴールド×フレンチデピュティ牝馬に拡大するとレインボーライン('18 天皇賞・春)が出ています。
小倉、福島、阪神内回りと形態の似たコースで1勝ずつを挙げています。連勝の勢いを駆っての参戦です。レースが上手く、決め手もあるした馬です。今後を占う一戦でもあります。
4枠8番のダノングレース。
ディープインパクト産駒の5歳牝馬で、前走ターコイズSから4か月半の間隔を置いての出走です。
ディープインパクト×Oratorio(IRE)の組み合わせの出走馬自体が少なく、活躍馬は本馬を除いてはいませんが、母父デインヒルに拡大するとダノンアレス(’16 朝日杯FS)がいます。
昨年の本レース3着馬ですが、以降不振にあえいでいます。差しタイプだけにはまるハマらないは大きいように思いますが…
5枠9番のレッドアネモス。
ヴィクトワールピサ産駒の4歳牝馬で、前走中山牝馬Sからは中5週の出走です。
ヴィクトワールピサ×サクラバクシンオー牝馬の組み合わせはWarring State('17 バヴァーリアンクラシック)が出ています。
3歳で白百合Sを制しましたが、昨年の秋のクラシックでは大敗を喫し、立て直されて前走戦線に復帰しましたが、まだ芳しい結果は出ていません。一叩きで上向いているようなら一変もありえそうです。
5枠10番のハーレムライン。
マンハッタンカフェ産駒の5歳牝馬で、前走東風Sから中5週での出走です。
昨年は谷川岳Sでリステッドレース2勝目を挙げましたが、以降リステッドレースを中心に出走を続けています。決め手より位置取りでレースをするタイプの競走馬ですので、利のあるポジションに位置取りたいところです。
6枠11番のデンコウアンジュ。
メイショウサムソン産駒の7歳牝馬で、前走中山牝馬Sからは中5週の出走です。
メイショウサムソン×マリエンバード牝馬の組み合わせの活躍馬は今のところいません。
追い込み脚質のため、展開か馬場が差し向きでなければ勝ち切ることはなかなか難しいですが、牝馬重賞なら上位を争える馬の一頭です。
6枠12番のモルフェオルフェ。
オルフェーヴル産駒の5歳牝馬で、前走中山牝馬Sからは中5週の出走です。
オルフェーヴル×キングカメハメハ牝馬の組み合わせの目立った活躍馬はタガノディアマンテ('19 きさらぎ賞2着)がいます。
逃げタイプの馬で重賞ではやや壁を感じますが、無警戒は危険です。
7枠13番のリュヌルージュ。
モンテロッソ産駒の5歳牝馬で、前走中山牝馬Sからは中5週の出走です。
モンテロッソ×メジロマックイーン牝馬の組み合わせの目立った活躍馬はまだいません。中央の初重賞制覇もこの馬に期待したいところです。
前走は昇級初戦ながら先行して渋太く粘りました。外枠でスムースなレースができれば、再現は難しくないかもしれません。
7枠14番のフェアリーポルカ。
ルーラーシップ産駒の4歳牝馬で、前走中山牝馬Sからは中5週の出走です。
ルーラーシップ×アグネスタキオン牝馬の組み合わせを持つ活躍馬はサンリヴァル('18 皐月賞2着)がいます。
前走で重賞を初制覇しました。好位に位置取っての差し脚が武器です。レースのしやすい枠を引きましたし、レースのしやすさはあるでしょう。
8枠15番のショウナンバビアナ。
ディープインパクト産駒の4歳牝馬で、前走テレビ山梨杯(1000万下)からは中9週での出走です。
ディープインパクト×Unbridled's Song牝馬の組み合わせからはダノンプラチナ('14 朝日杯FS)、コントレイル('20 皐月賞)が出ています。
逃げて勝利を挙げていますし、モルフェオルフェと逃げ争いになればペースは流れることになりそうです。折り合って逃げ残りを狙ってくるかもしれませんが…
8枠16番のランドネ。
Blame産駒の5歳牝馬で、前走愛知杯からは3か月半の間隔を置いての出走です。
Blame×A.P.Indy牝馬の組み合わせを持つ活躍馬にはSenga('17 フランスオークス)がいます。父はアメリカの歴史的な牝馬Zenyattaの連勝をブリーダーズカップ・クラシックで止めた馬として有名ですが、その父系はシンボリクリスエスと同じKris S.の分岐です。その父Robertoはダービーステークスを制しているように、芝での活躍は不思議ではありません。
近走不振が続くだけに思い切った作戦で新味開拓を狙ってくるかもしれませんね。
評価
◎フェアリーポルカ
▲エスポワール
☆フィリアプーラ
△サラキア、リュヌルージュ、ショウナンバビアナ