2020/4/19に中山競馬場で施行される皐月賞について見ていきます。
レース概要
イギリス牡馬クラシックの2000ギニーを範に創設された繁殖馬選別競走のため、去勢馬は参加できない競走です。
その歴史は戦前1939年に遡り、当初は現存しない横浜競馬場芝1850mでの施行でした。
戦争激化のため東京競馬場の1800mに移設され、1949年に中山競馬場芝1950mに変更されるまでの4回は東京競馬場での施行でした。
1950年には距離が2000mに変更され、前年にレース名が現在のものに代わると、代替開催以外は基本的には変わらない条件で試行されています。
・レース名
横浜農林賞典四歳呼馬競走(1939-1942)→農商賞典四歳(1943-1944)
→農林賞典(1947-1948)→皐月賞(1949-)
・施行距離
横浜競馬場芝1850m(1939-1942)→東京競馬場芝1800m(1943-1944,1947-1948)
→中山競馬場1950m(1949)→中山競馬場2000m(1950-)
コース概要
正面直線の入り口にスタートゲートが置かれ、1コーナーまでの約400mで先行争いが展開されます。
スタート直後に中山名物の急坂を上り、1コーナー途中までは上りが続きます。上り切ったら今度は緩い下りに転じ、向こう正面半ばまでは下っていきます。3-4コーナーはほぼ平坦で、最終直線で再び急坂を上る。コース全体の高低差は5.3mあります。
出走馬紹介
1枠1番のコントレイル。
ディープインパクト産駒の3歳牡馬で、4戦目の出走です。
父ディープインパクト×母の父Unbridled's Songはダノンプラチナ(朝日杯FS)と同配合です。ディープインパクトの本質はずば抜けたトップスピードの持続力でしたが、この配合はそれを強調する方向に出るようですね。
実績的にもこの舞台は苦にしませんし、中心なのは間違いないでしょう。
不安要素があるとすれば、前が詰まることで有名な騎手とのコンビであることでしょうか。
2枠2番のレクセランス。
ディープインパクト産駒の3歳牡馬で、4戦目の出走です。
母の父はデインヒル直仔のChamps Elyseesで、父ディープインパクト×母の父デインヒル系種牡馬の配合はサトノアレス(朝日杯FS、母父デインヒル)、ミッキーアイル(NHKマイルC、母父ロックオブジブラルタル)、ミッキーチャーム(阪神牝馬S、母父Dansili)などがいます。
関西圏のみで出走してきており、重賞戦線で戦っている馬とは未対戦で、そのあたりの相手関係がよくわからないところが人気を集めない要素であり、穴人気する要素なのだと考えます。多頭立ては13頭までしか経験がありませんので、周りを囲まれるような競馬も未経験なのが不安に映ります。課題の多い馬を初騎乗の騎手が乗りこなせるかも、カギになりそうです。
2枠3番のコルテジア。
シンボリクリスエス産駒の3歳牡馬で、7戦目の出走です。
父シンボリクリスエス×母父ジャングルポケットの配合での活躍馬は本馬が初めてです。母父カラムーン系種牡馬まで拡大するとアプレザンレーヴ(青葉賞)がいます。
中長距離型の配合であることがわかりますが、きさらぎ賞を勝利した春のクラシックホースはネオユニヴァース以降登場していないのが気にかかるところです(クラシックホース自体は2016年勝ち馬のサトノダイヤモンドが菊花賞が勝っています)。
2枠4番のテンピン。
ジャスタウェイ産駒の3歳牡馬で、2戦目の出走です。
新馬勝ちから抽選を突破して出走にこぎつけました。祖母はフラワーカップの勝ち馬タイムフェアレディですが、ファミリーからほかのオープン活躍馬は出ていません。
3枠5番のサトノフラッグ。
ディープインパクト産駒の3歳牡馬で、5戦目の出走です。
母父Not For Saleはアルゼンチン産馬で、Gray SovereignのCaro分岐に属する種牡馬です。母バラダセールはアルゼンチン1000ギニー勝ち馬です。
同じ父×母父の組み合わせではダノンファンタジー(阪神JF)が出ています。
コントレイル、サリオスに並ぶ3強の1角です。初戦の重馬場でコロッと負けましたが、前走は馬場に苦しみながらも勝ち切りました。3強の中では最も重馬場を苦にすると目されており、馬場の回復がカギでしょう。
3枠6番のディープボンド。
キズナ産駒の3歳牡馬で、5戦目の出走です。
近親にローレルゲレイロ(高松宮記念)、リキサンマックス(きさらぎ賞2着)がいるファミリーの出身です。キズナ初年度産駒の1頭で、500万下条件戦を2着して抽選突破しての出走です。
厳しい戦いになるでしょうが、出走した限りは勝つ可能性があります。馬場を味方につけて流れ込みたいところです。
4枠7番のサリオス。
ハーツクライ産駒の3歳牡馬で、4戦目の出走です。
母父Lomitasはドイツに根を下ろしたNijinsky IIの血脈で、凱旋門賞馬デインドリームを送り出したことで世界的な名声を得ました。母父としての日本での活躍馬はサリオスの半姉と地方の強豪カイロスがいます。
3強の1角として名を連ねていますが、マイルに絞って使ってきていることや朝日杯FSからの直行ローテーションも気になるところです。
4枠8番のウインカーネリアン。
スクリーンヒーロー産駒の3歳牡馬で、8戦目の出走です。
この父×母父の組み合わせでの活躍馬は本馬が初めてです。先行力があり、重馬場に強いといわれる父産駒だけに馬場の回復次第では好走があるでしょう。
5枠9番のブラックホール。
ゴールドシップ産駒の3歳牡馬で、6戦目の出走です。初年度産駒のため、活躍配合といえるほどのデータは集まっていません。
昨夏に札幌2歳Sを制して重賞戦線に参戦しましたが、芳しい結果は残せていません。前走重馬場での適性を見せましたが、回復傾向の馬場でどこまで抗戦できるでしょうか。
5枠10番のアメリカンシード。
Tapit産駒の3歳牡馬で、5戦目の出走です。
母Sweet Talkerは米GIクイーンエリザベス2世チャレンジカップ(芝1800m)の勝ち馬です。母父Stormin Feverの活躍馬はこの母から出ています。
この馬も時計かかる馬場向きと考えられますが、回復傾向だけに難しいところです。
6枠11番のクリスタルブラック。
キズナ産駒の3歳牡馬で、3戦目の出走です。
京成杯勝利からの直行ローテーションは2010年のダービー馬エイシンフラッシュと同じですが、エイシンフラッシュはそれ以前にオープン競走の出走経験がありました。道中中団から直線豪快に突き抜ける強い競馬でしたが、負かした馬たちの成績がさえないことが気になります。
6枠12番のマイラプソディ。
ハーツクライ産駒の3歳牡馬で、5戦目の出走です。
ラジオNIKKEI杯京都2歳Sの勝ち馬ですが、当該レースの勝ち馬はクラシック戦線で活躍できないジンクスがあり、この馬も前走で不可解な敗退を喫し、微妙なところです。
7枠13番のダーリントンホール。
New Approach産駒の3歳牡馬で、5戦目の出走です。
父×母父の組み合わせの活躍馬は本馬が初めてですが、父のGalileo×母父PivotalではMayson(ジュライC)を筆頭に活躍馬が出ています。
前走は先行からの抜け出しで勝利しました。レースのしやすい外枠ですし、先行して早めに抜け出していきたいところでしょう。
7枠14番のキメラヴェリテ。
キズナ産駒の3歳牡馬で、6戦目の出走です。
DG重賞の北海道2歳優駿を制しましたが、ダートで苦戦が続き、芝に初参戦しました。渋った馬場を味方に逃げ残り、駒を進めてきました。
回復傾向ではありますが、飛ばしていっての流れ込みを狙われると思わぬ波乱の立役者となるかもしれませんね。
7枠15番のラインベック。
ディープインパクト産駒の3歳牡馬で、6戦目の出走です。
言わずと知れた三冠牝馬アパパネの子で、父×母父キングカメハメハの組み合わせはワグネリアンを出したダービー配合です。
新馬戦から2連勝を決めましたが、重賞戦線では成績が下降線なのが気になります。晩熟型なのかもしれません。
8枠16番のガロアクリーク。
キンシャサノキセキ産駒の3歳牡馬で、5戦目の出走です。
同じ父×母父Kingmamboの配合はシュウジ(阪神C)がいます。
父の現役時代のイメージからは想像がつかない中距離戦線で活躍しています。
前走距離短縮が末の爆発力につながった面が見られますので、再度の延長はプラス材料には思えないところですが…
8枠17番のヴェルトライゼンデ。
ドリームジャーニー産駒の3歳牡馬で、5戦目の出走です。
父×母父Acatenangoの配合の活躍馬は本馬が初めてですが、同じサンデーサイレンス分岐のディープインパクトとの組み合わせでワールドプレミア(菊花賞)を送り出しています。
前走は出足から苦しい形でしたので、ゆったり行ける距離延長はプラスと見ています。
8枠18番のビターエンダー。
オルフェーヴル産駒の3歳牡馬で、5戦目の出走です。
ユニオン会員としては頑張ってほしい馬の1頭ですが、前走は恵まれた面があり、ここでは敷居が高い気がしています。
評価
◎コントレイル
〇サトノフラッグ
▲ヴェルトライゼンデ
☆キメラヴェリテ
コントレイルが抜けていると見ました。内荒れで内を空けて他馬が走るとしたら内に閉じ込められる心配もなくなります。馬場の回復傾向でのこなせる範囲になったと判断してサトノフラッグを2番手に。距離伸びていいヴェルトライゼンデを3番手に指名、キメラヴェリテは逃げ残りに警戒です。連下は騎手に勢いのあるコルテジア、距離に不安残すサリオス、時計かかれば浮上あるブラックホール、組み立てやすい枠からレースを進められるダーリントンホールを選びました。
以上、第80回 皐月賞 プレビューでした。