阪神競馬場で実施される第26回 アーリントンカップを見ていきます。
レース概要
アーリントンカップは1987~1991年に阪神競馬場で施行されていた「ペガサスステークス」を前身とします。ペガサスステークスはオグリキャップが中央移籍初戦に出走し、衝撃的なパフォーマンスを見せたことから、レース名を覚えている方は多いのではないでしょうか。
阪神競馬場がアメリカのアーリントンパーク競馬場と提携を結んだことを機にペガサスステークスの競走機能を引き継いでアーリントンカップが創設されました。創設されて以降は2月末から3月初頭に施行されていましたが、2018年にNHKマイルカップのトライアル競走に指定され、4月半ばに移設されました。
歴代優勝馬にはマイル~中距離でのちに活躍した馬や、スプリント戦線に転じてGI馬の勲章を得た馬、本競走の2倍の距離である3200mでGIを勝利した馬など、多種多様な活躍馬が名を連ねています。阪神マイルの舞台を勝利するのに求められる底力が高い証左だといえるでしょう。
コース概要
向こう正面半ばにスタートゲートが置かれ、3-4コーナーは外回りコースを使用します。直線の長さは476mあり、コース全体の高低差は2.4mあります。
出走馬紹介
1枠1番のノルカソルカ。
エピファネイア産駒の3歳牡馬で、5戦目の出走になります。
三代母にオールフォーロンドンがおり、キセキやグレーターロンドン、ダイワエルシエーロのいるファミリーに属しています。配合的にはトレンドであるサンデーサイレンスの3×4クロスがエッセンスになってくるでしょうか。
前走で未勝利を卒業、格上挑戦で重賞出走です。頭が高く、首のストロークが小さい特徴的な走り方をする馬です。新馬戦(2着)、前々走(2着)、前走(1着)とハナを奪うと非常に渋太く、メンバー的にも単騎逃げが叶いそうで展開利が見込めます。不安は騎手が初騎乗であること、昇級戦かつ格上挑戦であることが挙がります。
2枠2番のデュードヴァン。
Declaration of War産駒の3歳牡馬で、3戦目の出走です。
2戦2勝で駒を進めてきましたが、ともにダート戦でのもので、芝の出走経験はありません。レースぶりはスピード豊かなところを感じさせますが、いきなりの通用はどうでしょうか。新馬こそ勝っていますが、相手強化に初芝、約5か月の休み明けは厳しく見えます。
3枠3番のチュウワノキセキ。
キンシャサノキセキ産駒の3歳牡馬で、6戦目の出走です。
母ミスティックリップスはジェネラス産駒で、現役時代にドイツオークスを制しています。
初戦を勝ち上がって以降は500万下条件で入着を続けていますが、後方からの競馬ゆえに差し届かない結果が続いています。速い脚を押し上げてくる間に使ってしまって差し切るところまで持っていけていない印象ですので、さらに道中のペースが上がるマイル戦では苦しくなることが想像できます。
4枠4番のトリプルエース。
Sharmardal産駒の3歳牡馬で、6戦目の出走です。
2度の連対はともにスプリント戦でのものです。前走は出遅れながらよく追い込んでの3着でした。2歳時は京都マイルで4着もあり、決してこなせない距離ではありませんし、マイルでで負けも巻き返すチャンスは増えます。父は昨日亡くなりましたし、弔いの構想があるかもしれません。
5枠5番のジュンライトボルト。
キングカメハメハ産駒の3歳牡馬で、8戦目の出走です。
三代母は名牝エアグルーヴで、ドゥラメンテと同じファミリー出身です。
前走で500万下を勝ち抜け、朝日杯FS以来の重賞挑戦です。先行差しと融通は利きますが、前走の決め手を見るに溜めた方が良さが出そうな馬です。
5枠6番のタイセイビジョン。
タートルボウル産駒の3歳牡馬で、5戦目の出走です。
同じファミリーの活躍馬にはユートピアがいます。
メンバー唯一の重賞馬で、実績は最上位です。折り合いさえつけばあっさりと突き抜けるでしょう。
鞍上の石橋騎手とは新馬戦以来の組み合わせです。
6枠7番のボンオムトゥック。
同ファミリーの活躍馬にアサクサデンエン、ヴィクトワールピサ、ローブティサージュなどがいます。
3戦目の未勝利卒業から牝馬限定500万下と連勝を決めて駒を進めてきました。ともに外付けからの押切の形で、今回の枠でもそれは狙えそうです。初勝利の鞍上藤岡騎手に戻っての参戦です。
6枠8番のリインフォース。
キングズベスト産駒の3歳牡馬で、9戦目の出走です。
様々な条件で試行してスプリント戦で初勝利を挙げました。前走で500万下にもメドを立てましたが、勇躍重賞に挑戦です。芝1800mでの出走経験がありますが、成績は振るっていませんし、相手が強くなるだけに厳しいことが予想されます。
7枠9番のプリンスリターン。
ストロングリターン産駒の3歳牡馬で、6戦目の出走です。
レースの上手さ、器用さが武器の馬で、前走シンザン記念でもサンクテュエールと際どい勝負をしました。スタートと位置取りが重要なこの馬に競馬を組み立てやすい外枠はプラスと見ます。
7枠10番のギルデッドミラー。
末脚を生かす形がベストですが、速い脚を長く使えるわけではありませんので、離されずについていくことが条件です。500万下卒業では1400mの速い流れを先行直後につけていきましたし、クラスが上がっても1600mなら追走は可能と考えます。
8枠11番のロードベイリーフ。
ヴァンセンヌ産駒の3歳牡馬で、10戦目の出走です。
マイルで勝ち上がり、自己条件9着を挟んでの出走です。初勝利は阪神マイルで挙げており、先行して粘る脚には一定水準にありますが、昇級後のクラス慣れが必要でしょう。
8枠12番のグランレイ。
ルーラーシップ産駒の3歳牡馬で、6戦目の出走です。
昨年末の朝日杯FSでは猛然と追い込んで3着を確保しましたが、条件戦でも届かない競馬を続けています。同距離での好走歴があり、抑えが必要です。短いところを使って追走も改善してきています。
評価
◎タイセイビジョン
実績的にも上位ですし、外す理由がありません。
〇プリンスリターン
比較的外枠を引け、レースは組み立てやすいだろうと考え指名です。絶対的な決め手は持ちませんので、位置取りが下がればそのまま流れ込みもありうるのが怖いところですが…
▲ノルカソルカ
展開恵を見込みました。逃げ馬有利な馬場ではありませんが、ハナを奪えれば粘れる馬だけに軽視は禁物です。
☆ボンオムトゥック
連勝の勢い、内容を評価しての指名です。昇級戦と鞍上の乗り下がりで厳しい面も見え隠れしますが…
△チュウワノキセキ、ジュンライトボルト、グランレイ
追走厳しくなる予想はあるものの決め手はあるチュウワノキセキ、有利な枠を引いて一発にかけてほしいジュンライトボルト、同条件で見せた追い込みが強烈だったグランレイの3頭を連下に指名します。